
はじめに

Creedence Clearwater Revival(CCR)ってどんなバンド?
Creedence Clearwater Revival(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)、通称 CCR は、1960年代後半から70年代初頭にかけて活躍したアメリカのロックバンドです。
シンプルで力強いギター、湿った南部の空気を感じさせるメロディ、そしてどこか懐かしさのある歌声が特徴で、“アメリカン・ロックの原風景”と呼ばれるほど人気がありました。
南部の香りがただよう「スワンプ・ロック」の代表格
CCRの音楽は、ロックなのに土の匂いがするような温かさがあります。
ブルース、カントリー、フォークを混ぜ合わせたスワンプ・ロック(沼地ロック) と呼ばれるスタイルの代表的な存在で、どの曲にも“南部の風景”がそっと忍び込んでいます。
ギターが軽やかに転がり、少しハスキーなジョン・フォガティの声がまっすぐに響く、そんな素朴で心に残るサウンドが、50年以上たった今でも世界中で愛され続けています。
『Willy and the Poor Boys』というアルバムについて
〜街角のバンドがそのまま飛び出してきたような、温かい一枚〜
「Willy and the Poor Boys(ウィリー・アンド・ザ・プア・ボーイズ)」は、Creedence Clearwater Revival(CCR)が1969年に発表したアルバムです。
木の温もりを感じるようなサウンドと、どこか庶民的で親しみやすいムードが魅力で、CCRの作品のなかでも
“いちばん生活の香りがするアルバム” といわれることがあります
「街角で演奏するバンド」をテーマにした作品
アルバムのジャケットには、街角で演奏する4人の若者が描かれています。
彼らこそ、アルバムのタイトルにも出てくる“ウィリーと貧乏仲間たち(Poor Boys)”。
このジャケットが象徴しているように、アルバム全体が、フォーク、ブルース、カントリーが混ざり合った“街角の生演奏”を思わせる仕上がりです。肩の力を抜いて楽しめる、どこか懐かしい音の風景が続きます。
主な収録曲と聴きどころ
アルバムには、「Down on the Corner」「Fortunate Son」「Cotton Fields」など、時代を超えて愛される名曲が並びます。
- 「Down on the Corner」:明るく軽快で、思わず体が揺れてしまう名曲
- 「Fortunate Son」:反戦をテーマにした、社会色の強いロックナンバー
- 「Cotton Fields」:フォークソングとして長く歌われてきた名曲を、CCRが軽やかに蘇らせた一曲です。
『Cotton Fields』を歌ってみよう!
明るい風がふっと吹き抜けるような、やさしい一曲。
CCR の『Cotton Fields』は、聴いた瞬間に気持ちが軽くなるようなとてもシンプルで親しみやすい歌です。
歌詞はほとんど同じフレーズの繰り返しですので、何度か口ずさんでいるうちに自然に覚えられます。
また、元歌が Lead Belly の『Cotton Fields』(folk blues)で、素朴な歌い回しです。
軽やかなリズムに合わせて、肩の力を抜いて歌ってみてください。
Lead Belly のように12弦ギターで演奏したり、CCRのようにドラムのスネアのリズムに身をゆだねたり。
晴れた午後や、気分を変えたいときにそっと歌うと、南部の綿畑を渡る風景がふんわりと心に広がっていきます。コーヒーでも飲みながら、気軽に楽しんでみてくださいね。
英語の歌詞と、日本語訳を並べて紹介

When I was a little bitty baby
My mama would rock me in the cradle
In them old cotton fields back home
ぼくがまだ、ほんの小さな赤ん坊だったころ。
お母さんは、ゆりかごの中のぼくをそっと揺らしてくれた。
その家のまわりには、古い綿畑がどこまでも広がっていたんだ。
歌の語り手は、自分の“いちばん古い記憶”を語り始めます。
南部の農家で育つ子どもにとって、綿畑は生活そのもの。
家族の温かさと土地の記憶が重なり合う、象徴的な景色です。
It was down in Louisiana
Just about a mile from Texarkana
In them old cotton fields back home
ここはルイジアナ州。
テキサーカナからほんの1マイルほど南に入ったあたり。
ぼくの故郷には、そんな綿畑が広がっていた。
テキサーカナはテキサス州とアーカンソー州にまたがる町。
そこから少し行ったルイジアナ北部は、昔から綿花栽培が盛んな地域です。
歌の背景が一気に“アメリカ南部の風景”として立ち上がります。
Oh, when them cotton bolls get rotten
You can’t pick very much cotton
In them old cotton fields back home
でも、綿の実が傷んでしまうと、
もうほとんど綿を摘むことができなくなる。
そんな苦労もあった綿畑が、ぼくのふるさとだった。
綿花は天候の影響を受けやすく、雨が続くと実が腐ってしまいます。
収穫できなくなれば、家計に大きな打撃が出るほど深刻でした。
ここには、当時の農家の“きびしい現実”が静かににじみ出ています。
『Cotton Fields』 曲情報・リリースデータ
原曲
タイトル: Cotton Fields
作者: Lead Belly(リード・ベリー)
ジャンル: フォーク・ブルース(アメリカ南部の伝承音楽)
初出: 1940年(Lead Belly の録音)
Lead Belly が歌った原曲は、アメリカ南部ルイジアナ州の綿畑をテーマにした、とても素朴で温かいフォーク・ブルースです。彼の12弦ギターと深い歌声が、土地の風景そのままに響きます。
CCRバージョン
アーティスト: Creedence Clearwater Revival(CCR)
収録アルバム: Willy and the Poor Boys
発売年: 1969年11月
レーベル: Fantasy Records
作曲者表記: Lead Belly
ジャンル: スワンプ・ロック/フォークロック
特徴: 明るく軽快なアレンジ、覚えやすい繰り返しフレーズ
CCR版は、Lead Belly の素朴な原曲を、ポップでリズム感のある“スワンプ・ロック” に仕上げています。
テンポが軽やかで、誰でもすぐに口ずさめる親しみやすさがあり、世界的に最も有名な「Cotton Fields」のアレンジのひとつになりました。
Willy and the Poor Boys(1969年)

アルバム情報:『Willy and the Poor Boys』(Cotton Fields)
アーティスト: Creedence Clearwater Revival(CCR)
発売日: 1969年11月2日
レーベル: Fantasy Records
ジャンル: スワンプ・ロック/フォークロック
Willy and the Poor Boys 収録曲
1. Down on the Corner
街角で音楽を奏でる少年たちの物語。明るくて、つい体が揺れるオープニング曲。
2. It Came Out of the Sky
軽快なギターが楽しいロックナンバー。ユーモアのある物語風の歌詞が魅力。
3. Cotton Fields(Lead Belly カバー)
素朴なフォークソングを、CCRが軽やかで明るいアレンジに仕上げた一曲。
4. Poorboy Shuffle
ハーモニカとスキップするようなリズムが心地よいインストゥルメンタル。
5. Feelin’ Blue
しっとりとしたブルーズ調の曲。深夜の空気が感じられるサウンド。
6. Fortunate Son
鋭い社会派ロック。力強いギターと歌声が時代の空気を鮮烈に伝える代表曲。
7. Don’t Look Now (It Ain’t You or Me)
軽やかなカントリー風ロック。生き方へのメッセージが込められた一曲。
8. The Midnight Special
伝承曲のカバー。夜明けを待つ気持ちを明るく描いた、希望を感じるアレンジ。
9. Side O’ the Road
短くて渋いインスト曲。ギターの響きが心地よく、アルバムの色に深みを出す存在。
10. Effigy
静かに燃えるような雰囲気を持つ曲。アルバムを締めくくるドラマチックなナンバー。

Cotton Fields(コットン・フィールズ)YouTube
Creedence Clearwater Revival(CCR)「Cotton Fields」
Lead Belly 「Cotton Fields」
まとめ|『Cotton Fields』が愛され続ける理由
『Cotton Fields』は、アメリカ南部の素朴な風景と、どこか懐かしい温かさが詰まった一曲です。
Lead Belly が歌った原曲は、フォークとブルースが混ざった、土の香りがするような優しい歌。
CCR はその曲を軽やかで明るいアレンジに仕上げ、誰でも口ずさめるポップスとして世界に広めました。
特に CCR バージョンは、同じフレーズの繰り返しが多く、とても覚えやすいのが魅力です。
英語に自信がなくても、リズムに身を任せれば自然に歌えてしまう、そんな“やさしい作り”の曲です。
収録アルバム『Willy and the Poor Boys』は、明るい曲と社会派ロック、伝承曲のカバーが絶妙に並んだ一枚で、
『Cotton Fields』はその中でも陽だまりのような存在。聴くたびに肩の力がふっと抜けるような気持ちにさせてくれます。
今日紹介した曲や背景を通して、CCR の音楽が持つ温かさと豊かさが、少しでも伝われば嬉しいです。
ぜひ、ご自身の声で『Cotton Fields』を気軽に歌ってみてください。南部の風が、そっとあなたの心にも吹き抜けるかもしれません。
