60年代〜70年代ロックを最新テクノロジーで攻略する「新・耳コピ術」

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60年代〜70年代ロックを最新テクノロジーで攻略する「新・耳コピ術」Mac miniとJC-22が置かれた、洋楽耳コピのための宅録デスク
目次

はじめに:あの「超絶フレーズ」を自分の手で再現するために

  • 「憧れのギタリストが弾く、あのフレーズを自分でも弾いてみたい!」
  • 「お気に入りのベーシストの奏でる、あの個性的なベースラインをマスターしたい!」

60年代や70年代のロックミュージックに魅了された人なら、誰もが一度はそう願うはずです。しかし、いざ楽器を手にしてみると、

  • 「速すぎて音が聞き取れない」
  • 「なんとか音は聞き取れたけど、どのポジションを使っているのかわからない」
  • 「いや、その前に指が動かない」

などと、挫折しそうになった経験はありませんか?

かつて耳コピといえば、テープが伸びてカセットデッキの中で、ぐちゃぐちゃに絡まるまで繰り返し巻き戻しをしたり、音程が下がってしまうのを我慢して低速で再生したり……という、なんとも地味な「オタク」の世界でした。

しかし、時は2026年、スマホにAI、音源だって何回再生しても劣化しないデジタルデータが当たり前。

現代では、AIが楽器の音を瞬時に分離してくれたり、音程を変えずに再生速度だけを自由自在に操れたりする強力なツールが、なんと無料で手に入ります。もはや耳コピは、鍛え上げた耳を持つ人だけに許された魔法ではありません。

この記事では、宅録やバンドでのコピーに今すぐ役立つ、無料ソフトを駆使した最新の耳コピ術を徹底解説します。ツールを賢く使いこなし、あの憧れのフレーズを自分の手で鳴らす喜びを体感してみましょう!

これだけは揃えたい! 厳選・無料耳コピツール

耳コピを「魔法」から「テクノロジー」に変えてくれる、夢のようなツールをご紹介します。しかも、これらはすべて無料(あるいは無料プラン内)で使い始めることができますよ。

Audacity:迷ったらこれ! 永遠の定番ソフト

「とりあえずこれを入れておけば間違いない」と言い切れるのが、オープンソースのオーディオエディタAudacity(オーダシティ)です。

昔から耳コピの相棒として愛されてきましたが、2026年現在の最新版ではさらに進化しています。特定のフレーズを範囲指定して「ループ再生」するのはもちろん、「音程を変えずにスピードだけ落とす」機能の精度が非常に高く、速いパッセージの解析には欠かせません。

さらに最近では、AIプラグイン(OpenVINOなど)を導入することで、自分のPC上でも楽器の分離ができるようになるなど、無料とは思えない進化を遂げています。

Windows版、macOS版、Linux 版があり、オープンソースなので、自由にダウンロードできます。

Macユーザーならこれ!標準搭載の「GarageBand」は最強の練習スタジオ

ちなみにMacをお使いの方なら、標準搭載のGarageBandも強力な耳コピツールになります。Audacityのような波形編集だけでなく、自分の楽器をMacに繋いでアンプシミュレーターを鳴らしながら、原曲とミックスして聴くことができるんです。

憧れのアーティストと同じような音を作り、セッション気分で音を拾っていけるので、練習効率とモチベーションはさらに上がりますよ。

Macに標準搭載のGarageBand

iPhoneやiPadで手軽に音楽制作ができるiOSのためのGarageBand

Moises:AIの力で「楽器の音」をバラバラに

現代の耳コピ界に革命を起こしたのが、このMoises(モイゼス)です。ブラウザやスマホアプリから音源をアップロードするだけで、AIが「ボーカル」「ドラム」「ベース」「ギター」などのトラックに瞬時に分解してくれます。

  • ギターの音を持ち上げて、ピッキングのニュアンスまで聴き取る
  • ベースラインだけを抽出して、運指を特定する
  • 自分のパートを消して「マイナスワン」音源として一緒に練習する

無料プランでは「月5曲まで」「1曲5分以内」といった制限はありますが、一曲をじっくりコピーするには十分すぎる性能です。

YouTube:もっとも身近な「最強の味方」

意外と忘れがちなのが「YouTube」。わざわざソフトを立ち上げるまでもなく、ちょっとしたフレーズの確認にはこれが一番手軽です。

再生画面の右下にある「歯車アイコン(設定)」から「再生速度」を選べば、0.25倍から2倍まで速度を自由に変えられます。 最近では高画質なライブ映像や「弾いてみた」動画も多いため、スロー再生しながら「ギタリストの手元をガン見する」ことで、ポジションを特定するのにも非常に役立ちます。

実践テクニック①:音を「分解」して聞き取る

ツールが揃ったところで、いよいよ実践です。耳コピの最初の壁は「いろんな楽器の音が重っていて、どれが自分の欲しい音かわからない」問題。まずは、絡み合った音を一本ずつ解きほぐしていくテクニックを見ていきましょう。

AI分離で「隠れた音」を救出する

まずは先ほど紹介したMoisesなどのAIツールを活用しましょう。

AIで「ギターだけ」を抽出してみると、驚くような発見があります。普通のスピーカーでは他の楽器にかき消されていた、「ジャカジャカというブラッシングの音」や「指が弦を擦れるフィンガーノイズ」まで鮮明に聞こえてくるはずです。

「このフレーズ、思ったよりピッキングしてないやん。」(実は左手で弾いている)というような発見があれば、コピーの精度は一気に上がります。まずはAIの力を借りて、ターゲットとなる楽器の「裸の音」を聴くことから始めてみてください。

EQ(イコライザー)でターゲットを絞り込む

  • 「ベースの音がドラムに埋もれて聞こえにくい」
  • 「ギターの中音域をもっとはっきりさせたい」

こんな時に役立つのがEQです。

Audacityなどのソフトで、特定の周波数を上げ下げしてみましょう。まるでお宝探しのような感覚です。

  • ベースを探すなら: 100Hz以下の重低音をグッと上げると、地響きのようなルート音が浮かび上がってきます。
  • ギターを探すなら: 1kHz〜3kHzあたりの中音域を強調してみてください。弦の輪郭がはっきりして、複雑なコードの構成音も聞き取りやすくなります。

「どのツマミを操作すれば、欲しい音が聞こえてくるんだろう?」と試行錯誤する過程そのものが、あなたの耳を鍛える最高のトレーニングになりますよ。

センターキャンセル:ボーカルの裏に隠れた音を聴く

これは少しクラシックな手法ですが、今でも十分に有効です。60年代や70年代の多くの録音では、ボーカルは「真ん中(センター)」に、ギターなどは「左右」に配置されています。

ソフトの機能でセンターの音を打ち消すと、真ん中に居座っていたボーカルがスッと消え、左右に追いやられていた楽器音がグワッと前面に出てくることがあります。

最新のAI分離でも「どうしてもギターとキーボードの音が混ざってしまう」という場合に、このセンターキャンセルを併用すると、バッキングの細かいフレーズが驚くほど鮮明に浮き彫りになることがあります。新旧の技を組み合わせるのが、今時の賢い耳コピ術です。

実践テクニック②:音を「引き延ばして」聞き取る

60年代〜70年代ロックを最新テクノロジーで攻略する「新・耳コピ術」実践テクニック②:音を「引き延ばして」聞き取る

AIで音をきれいに分けたとしても、やはり相手は伝説のロックスター。電光石火の速弾きや、複雑なドラムのフィルには、どうしても耳が追いつかないことがありますよね。そんな時に真価を発揮するのが、デジタルならではの「引き延ばし」の技です。

ピッチを保ったスロー再生:楽器を持ったまま練習できる!

1980年代に流行したアナログピッチシフター(カセットテープ式のウオークマンみたいなやつ)を使って再生速度を落とすと音程まで下がってしまい、低くなったキーに合わせて別のボジションで練習したり、ピッチのずれた音程に合わせてチューニングをしたりとなかなか大変でした。

しかしそれも昔の話

現在は、Audacityなどのソフトを使えば、「音程はそのままに、再生速度だけを自由自在に変える」ことができます。

Audacityでのコツ: 「エフェクト」メニューの中にある「テンポの変更」を選んでください。まずは「-20%」や「-30%」くらいから試してみるのがおすすめです。 音が間伸びしても音程が変わらないので、憧れのギタリストと一緒に、ゆっくりとしたテンポで練習を始めることができます。

ループ再生で「フレーズを脳に刻み込む」

耳コピで一番やってはいけないのが「曲の最初から最後まで一気に聞き取ろうとすること」です。どんなに耳が良い人でも、一度にたくさんの情報を処理するのは不可能です。

そこでおすすめなのが、ループ再生です。

「イントロの最初の2小節だけ」「サビ前のキメのフレーズだけ」というように、オーディオ編集ソフトで範囲を指定し、延々と繰り返し流してみましょう。

何度も、何度も、「自分の中に音が入り込んでくるまで」繰り返し聴いていると、ある瞬間、脳が音の正体を整理してくれます。「あ、ここは1弦をチョーキングしてるんだ!」「ここはスライドで上がってるな」といった細かいニュアンスが見えてくるはずです。

「スロー × ループ」で体得する

このスロー再生とループ再生を組み合わせれば、確実です。

  1. ゆっくり回して、音を確認する
  2. 確認できたら、その速さで一緒に弾いてみる
  3. 少しずつ再生速度を100%(原曲)に近づけていく

このステップを繰り返すだけで、あんなに「難しそうに聞こえたフレーズ」が、気がつくと自分の指先から流れ出すのがわかりますよ。

洋楽耳コピならではの「上達のコツ」

最新ツールを駆使して「音」が鮮明に聞こえるようになったら、次は「耳コピ」のコツを覚えましょう。特に60年代や70年代のロックミュージックの世界では、曲のイントロから全ての音を拾うよりも、いくつかの「パターン」を知っておくほうが圧倒的に有利です。

まずは「ベース」から聴く

ギターの印象的なリフや、ドラムのフィルイン、ホンキートンクなピアノのリズムに耳を奪われがちですが、最初は一番低いところで鳴っている「ベースの音」に集中してみてください。

なぜなら、ベースこそが曲の「土台」そのものだからです。その理由は、以下の3つのステップに集約されます。

「ルート音」がコードを決める

ベースが鳴らしている音は、その瞬間のコードの土台となる「ルート音」であることがほとんどです。ルートが分かれば、そこに3度や5度、7度といった音をパズルのように重ねるだけで、その場にふさわしいコード(和音)を見つけ出すのは決して難しくありません。

「キー」とコード進行が見えてくる

いくつかの主要なコードが見つかれば、自ずと曲の「キー」や「コード進行」が見えてきて、曲全体の構成が分かりやすくなります。この時点でコード譜を作成しておくと、スタジオなどのリハーサルで役立ちます。

「ソロやメロディ」の意味が分かる

コード進行という「地図」が手に入れば、その上に乗っているメロディやソロパートのフレーズも、その小節のコード進行に対応したスケールを使うことで、と驚くほど見つけやすくなります。

急がばベース」、これが耳コピの鉄則です。

「スケール」という音の「ものさし」を持つ

音楽の音階(scale)と物差しの目盛(scale)の語源はラテン語で「ハシゴ」の意味です。音楽の音階も物差しの目盛も、どちらもハシゴのように規則正しく並んでいるからでしょうね。

「すべての音をゼロから聞き取る」のは、実はプロでも大変な作業です。上達の秘訣は、「知識で予測して、耳で確認する」というスタイルに変えること。

たとえば「この曲は王道のロックン・ロールだな」と思ったら、まずはペンタトニック・スケールを使ってみましょう。Key Aのロックン・ロールブルースであれば、使っているスケールは、Aのメジャーかマイナーペンタトニックと当たりをつけることができます。パズルを解くように、「予想」と「答え合わせ」を繰り返すのが、耳コピを速くするコツですよ。

「ノリ」をコピーする —— グルーヴを盗む

60年代や70年代のロックミュージックの醍醐味は、グルーヴにあります。グルーヴはドラムとベースなどのリズム隊が生み出す「ノリ」や「揺らぎ」などのバイブスで、当時のロックバンドの間では「化学反応」とも呼ばれていました。

  • ニッキー・ホプキンスの揺さぶるようなピアノ
  • キース・ムーンの自由奔放なドラム
  • キース・リチャーズのレイドバックしたギター

これらの要素は楽譜には書かれていない、アーティストの魂のようなものです。完璧なリズムを目指すあまり機械的な演奏になるよりも、こうした「ニュアンス」を大切にしながら、コピーすることを目指してみてください。そうすれば、あなたの演奏は、よりロックでより魅力的なものになるはずです。

おわりに:耳コピは「発見」の連続

最初は「イントロのたった1小節」を聞き取るだけでも、思った以上に時間がかかるかもしれません。いくら最新のツールを使っても、最後に頼れるのは自分の耳だけです。

でも、それでいいんです。その試行錯誤した時間は、あなたが憧れのアーティストと真剣に向き合った、とても濃密な時間です。大好きな音楽に近づいて、苦労して身につけたその経験は、いつまでもあなたの中に残ります。

「音楽が聞き取れた!」という小さな成功体験を積み重ねていくうちに、あなたの耳は少しずつ鍛えられ、今まで聴いていお気に入りのアルバムが、これまで以上に立体感を持って、リアルに聞こえるはずです。

そのためにも、便利なツールを賢く使って、耳コピを大好きな音楽の秘密を解き明かす「ワクワクした発見の連続」に変えていきましょう。

あなたの指先から、憧れのアーティストのフレーズが流れ出す日は、そんなに遠くはないですよ。

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