
モジュレーションエフェクター徹底解説! フェイザー&コーラスの特徴とおすすめモデル

「もっとギターサウンドに奥行きを出したい」「独特の揺らぎを加えたい」そんなギタリストにおすすめなのがモジュレーション系エフェクターです。フェイザーやコーラスなどのエフェクトを使えば、サウンドに立体感を与え、楽曲の雰囲気を大きく変えることができます。
この記事では、モジュレーション系エフェクターの特徴や違いを解説し、プロから初心者までおすすめのモデルをご紹介します!
エフェクター初心者の方も安心! モジュレーション系エフェクターの基本から、あなたにぴったりのモデルまで、わかりやすく解説していきます。
モジュレーション系エフェクターの歴史:フェイザー&コーラスの進化

モジュレーション系エフェクター(フェイザー、コーラス)は、ギターサウンドに揺らぎや奥行きを加えることで、音楽の表現を大きく広げてきました。その起源は、スタジオ機材やテープ録音技術にさかのぼり、1970年代以降はペダルエフェクターとして普及しました。
ここでは、モジュレーション系エフェクターの歴史を**フェイザー(Phaser)とコーラス(Chorus)**に分けて解説します。
フェイザー(Phaser)の歴史
1960年代:スタジオ機材としての誕生
フェイザーのルーツは、スタジオ録音で使用されていた「テープ・フランジング」技術にあります。これは、2台のテープレコーダーをわずかにずらして録音することで、音がうねるような効果を生み出す手法です。
しかし、テープを使ったフランジングは手間がかかるため、電子回路で同じ効果を作れないか? という発想からフェイザーが開発されました。
1970年代:ギターペダルの登場と大流行
1970年代初頭、いくつかのメーカーがフェイザーのペダルエフェクターを発表し、ギタリストの間で急速に普及しました。
MXR Phase 90(1974年)

Eddie Van Halenが使用し、フェイザーの代表的なエフェクターとして知られるようになる。
特徴
- フェイザーの元祖とも言えるモデル
- シンプルな1ノブ設計で直感的な操作が可能
- Eddie Van Halenが愛用し、彼の「Eruption」などのサウンドに貢献
こんな人におすすめ
- 伝統的なクラシックロックサウンドを求める人
- シンプルで扱いやすいフェイザーが欲しい人
Electro-Harmonix Small Stone(1974年)

Pink FloydのDavid Gilmourが使用し、温かみのあるフェイザーサウンドが広まる。
この時期、フェイザーはクラシックロック、プログレッシブロック、ファンクなどの音楽シーンで大活躍しました。
特徴
- David Gilmour(Pink Floyd)が使用
- 「Color」スイッチで、フェイズの強さを変更可能
- ウォームでオーガニックなサウンドが魅力
こんな人におすすめ
- ピンク・フロイドのような浮遊感のあるフェイズサウンドが欲しい人
- アナログらしい温かいフェイザーを求める人
1980年代:デジタル化と多機能化
1980年代に入ると、エフェクターのデジタル化が進み、より多機能なフェイザーが登場します。
BOSS PHシリーズ(PH-1, PH-2, PH-3)

- 2段階、4段階、8段階のフェイジング効果を切り替え可能。
- 現在でもPH-3は定番モデルとして人気。
この時代のフェイザーは、エフェクトの深さやスピードを細かく調整できるようになり、シンセサイザーやベースなどにも活用されました。
特徴
- 初のBOSS製フェイザー
- PH-1は2段階フェイズ、PH-1Rは**「Resonance(共鳴)」**を追加
- よりモダンでシャープなフェイザー効果
こんな人におすすめ
- 80年代のニュアンスを持つクリアなフェイザーが欲しい
- BOSSの頑丈で安定したエフェクターが好きな人
1990年代~現在:ヴィンテージ回帰とハイエンド化
1990年代以降、オリジナルのアナログ回路を忠実に再現したヴィンテージ系モデルが人気に。
MXR EVH Phase 90

Eddie Van Halenシグネチャーモデル
特徴
- Eddie Van Halenシグネチャーモデル
- 「Script」ボタンでオリジナルPhase 90のクラシックサウンドを再現
- よりクリアでモダンなフェイズも可能
こんな人におすすめ
- EVHのようなフェイズサウンドを求める人
- クラシックとモダンの両方のフェイズが欲しい人
Electro-Harmonix Nano Small Stone

Electro-Harmonix Nano Small Stoneは、1970年代の伝説的フェイザー**「Small Stone」をコンパクトな筐体に収めたモデルです。オリジナルの温かみのあるフェイズサウンド**を受け継ぎつつ、ボードに組み込みやすいサイズで登場しました。
特徴
- クラシックなアナログフェイザー
- 「Color」スイッチで音の変化を調整
- シンプルな1ノブ操作
- コンパクトでエフェクターボードに最適
David Gilmour(Pink Floyd)やJ. Mascis(Dinosaur Jr.)も愛用
- David Gilmourは**「Shine On You Crazy Diamond」**でSmall Stoneを使用
- J. Mascis(Dinosaur Jr.)は、独特のリードトーンにNano Small Stoneを愛用
こんな人におすすめ
- クラシックなアナログフェイザーを求める人
- シンプルな操作で温かみのあるフェイザーを楽しみたい人
- ボードに収まりやすいコンパクトなフェイザーが欲しい人
コーラス(Chorus)の歴史

1960年代:テープディレイによるコーラス効果
コーラスの原点は、**テープエコーを使った「ダブルトラッキング」**という技術です。これは、同じ音をわずかに遅らせて重ねることで、厚みのあるサウンドを作る手法でした。
ビートルズやジミ・ヘンドリックスのレコーディングでも、テープを用いたコーラス効果が活用されていました。
Roland Jazz Chorus JC-120の誕生

Rolandの**JC-120(Jazz Chorus 120)は、1975年に登場した世界初の「コーラス機能を搭載したギターアンプ」**として知られています。これが、後にBOSSのコーラスペダルや他のアンプに影響を与えた画期的な発明でした。
「Dimensional Space Chorus」を初めて搭載したJC-120
JC-120に搭載されたコーラスは、Rolandが開発した「Dimensional Space Chorus」という技術によるものです。
- それまでのコーラス効果は、スタジオのダブルトラッキングやテープエコーを使用して作られていました。
- ギターアンプにコーラスが内蔵されたのは、JC-120が初であり、それまでにこのような機能を持つアンプは存在しませんでした。
このコーラスは、**左右2基のスピーカーを使って、立体的な揺らぎを生み出す「ステレオ・コーラス」**でした。これは、のちのコーラスエフェクターの基盤となる技術です。
後のエフェクターに影響を与えたJC-120のコーラス
JC-120のコーラスが評価されたことにより、BOSSはこの技術をペダルエフェクターとして応用し、1976年に**世界初のギター用コーラスペダル「BOSS CE-1」**を発売しました。
- BOSS CE-1 = JC-120のコーラス回路をペダル化したもの
- これが大ヒットし、後のCE-2やCE-3へと発展していきました
つまり、現在のコーラスエフェクターの原点はJC-120にあると言っても過言ではありません。
ステレオ・コーラスが生み出す立体的なサウンド
JC-120の最大の特徴は、2基のスピーカーを活かした「ステレオ・コーラス」です。
- 従来のモノラルコーラスでは得られない、左右に広がる立体的なサウンドを作り出せる
- この効果は、特にクリーントーンで圧倒的な存在感を発揮する
この技術は、スタジオだけでなくライブでも「広がりのあるサウンド」を再現できる画期的な発明でした。
JC-120がギタリストに与えた影響
JC-120は、クリーントーンとコーラスの美しさから、数多くのギタリストに愛用されました。
The Police(アンディ・サマーズ)
JC-120のコーラスを活かしたカッティングプレイが特徴的
U2(エッジ)
ステレオ・コーラスを活かしたディレイ&リバーブとの組み合わせが定番
メタリカ(ジェームズ・ヘットフィールド)
クリーントーンのレコーディングで使用
このように、1975年の登場以来、JC-120は「世界初のコーラスアンプ」として音楽シーンに革命をもたらしました。
コーラスエフェクターの進化と選び方|歴史・特徴・おすすめモデルを徹底解説!
1970年代:初のギター用コーラスペダル誕生
1976年、BOSSが世界初のギター用コーラスペダルを発売。
BOSS CE-1(1976年)

- Rolandの「JC-120」アンプに搭載されたステレオ・コーラス回路をペダル化。
- クリーントーンを太く、美しくする効果があり、多くのギタリストに愛用される。
これが「Dimensional Space Chorus」という、後のBOSSコーラスの基盤となる技術です。
1980年代:BOSS CE-2 & Small Cloneの登場
1980年代は、コーラスエフェクターがギターシーンで大流行しました。
BOSS CE-2(1979年)

CE-1よりコンパクトになり、スタンダードなコーラスペダルとして定着。
特徴
- CE-1の後継機として開発され、よりコンパクトに
- アナログらしい温かみとナチュラルな揺らぎ
- クリーントーンとの相性抜群
こんな人におすすめ
- 80年代のポップスやロックが好きな人
- コンパクトでシンプルなコーラスが欲しい
Electro-Harmonix Small Clone

NirvanaのKurt Cobainが「Come As You Are」で使用し、グランジロックでも人気に。
この時代のコーラスは、クリーントーンだけでなく、歪み系サウンドにも使われるようになり、80年代のポップスやハードロックで欠かせない存在となりました。
特徴
- Kurt Cobain(Nirvana)が「Come As You Are」で使用
- アナログコーラスの中でも、温かみのある太いトーンが特徴
- シンプルな1ノブ操作で直感的に使える
こんな人におすすめ
- グランジ、オルタナティブロックが好きな人
- シンプルなアナログコーラスが欲しい
1990年代~現在:ヴィンテージ回帰 & ステレオ化

1990年代以降、アナログコーラスの人気が復活し、ヴィンテージモデルの再販やデジタルによる高音質なコーラスが登場しました。
BOSS CE-2W Waza Craft

ヴィンテージCE-2 & CE-1のモードを搭載
特徴
- CE-2 & CE-1のサウンドを忠実に再現したモード搭載
- 日本製の高品質パーツ使用
- 温かみのあるコーラスに加え、ステレオ対応
こんな人におすすめ
- BOSS CE-2のヴィンテージサウンドを求める人
- クリーントーンをよりリッチにしたい人
Strymon Ola

高品質なデジタル・ステレオコーラス
現在では、ステレオ仕様のコーラスが主流となり、ギターだけでなくキーボードやシンセサイザーにも広く使われています。
特徴
- アナログ風の温かみとクリアなデジタルコーラスを両立
- トレモロモードも搭載し、幅広いサウンドメイクが可能
- ステレオ対応でプロ仕様
こんな人におすすめ
- スタジオクオリティのコーラスを求める人
- 多機能なモジュレーションペダルが欲しい
まとめ|理想のサウンドを手に入れよう!

モジュレーション系エフェクターは、ギターサウンドに奥行きや動きを加え、表現の幅を広げる重要なツールです。フェイザーはうねるような独特の揺らぎを、コーラスは厚みと広がりのあるサウンドを生み出し、ジャンルを問わず活躍します。
サウンドの特徴を理解する
- サイケデリックな雰囲気や個性的な揺らぎを求めるなら フェイザー
- 美しく広がるクリーントーンや厚みのあるサウンドが欲しいなら コーラス
使用用途を考える
- クリーントーンを強調するならBOSS CE-2Wなどのアナログコーラス
- 歪みエフェクターと組み合わせるならMXR Phase 90のようなシンプルなフェイザー
ペダルの機能とコントロール性をチェック
- シンプルな操作性が欲しい → ワンノブタイプ(例:MXR Phase 90)
- 細かく音作りをしたい → 多機能タイプ(例:BOSS PH-3, Strymon Ola)
エフェクターボードのスペースを考慮
- コンパクトにまとめたいなら Nanoサイズのモデル(例:EHX Nano Small Clone)
- ステレオ環境を活かしたいなら 大型ペダルやラックタイプ
あなたの演奏スタイルに合ったモジュレーションエフェクターを見つけて、理想のサウンドを手に入れましょう!
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