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エリック・クラプトン(Eric Clapton)の魅力に迫る:名曲・名盤ガイドとブルースを現代ロックへ渡した“スローハンド”

ブルースの火を、歌とギターで灯し続けた長い旅
エリック・クラプトン(Eric Clapton)は、ロックギターの歴史を語るうえで避けて通れない存在です。ヤードバーズ、ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ、クリーム、ブラインド・フェイス、デレク・アンド・ザ・ドミノス、そしてソロ活動。彼の名前は、1960年代以降のブリティッシュ・ブルース、ハードロック、アメリカ南部音楽、レゲエ、アコースティック・ロックの交差点に何度も現れます。
「Clapton is God」と壁に書かれた時代のギターヒーローでありながら、彼の本質は技巧の誇示だけではありません。B.B.キング、フレディ・キング、バディ・ガイ、ロバート・ジョンソンらから吸収したブルースの語法を、自分の声と人生の揺れに重ねてきた音楽家です。クリームでの爆音と即興、デレク・アンド・ザ・ドミノスでの切実な恋情、1970年代ソロ作品の穏やかな歌心、1992年『Unplugged』の静かな再出発。そのどれもが、クラプトンという一人の長い旅の断面です。
このページでは、代表作・名曲・主要メンバー・キャリア年表・ライブ文化を、初めて聴く方にも流れが見えるよう整理します。派手な神話だけではなく、アルバムごとの音の変化、バンド編成の意味、そしてライブ盤でしか伝わらない呼吸まで、エリック・クラプトンの魅力を立体的にたどっていきます。
⚡ 30秒でわかるエリック・クラプトン(Eric Clapton)
| 活動期間 | 1963年〜現在(イングランド出身) |
| 音楽ジャンル | ブルース・ロック/ロック/ハードロック/カントリー・ロック/レゲエ/アコースティック・ロック |
| 最大の特徴 | ブルースの語法を核に、激しいロックギターから穏やかな歌もの、アコースティック表現まで行き来する幅の広さ |
| まず聴くなら | 『Unplugged』(1992) — 代表曲、ブルース、歌心が自然に並ぶ、クラプトン入門の最短距離 |
アーティスト解説:エリック・クラプトン(Eric Clapton)とは?

エリック・クラプトンは、1945年3月30日にイングランドのサリー州リプリーで生まれました。10代でブルースにのめり込み、1963年にヤードバーズへ加入。ロンドンのR&Bクラブ・シーンで注目され、「Slowhand」というニックネームもこの時期に定着します。ヤードバーズがポップ路線へ近づくと、クラプトンはより純度の高いブルースを求めて脱退し、ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズへ参加しました。
1966年の『Blues Breakers with Eric Clapton』、通称「Beano Album」は、ブリティッシュ・ブルースの決定的な録音です。レスポールとマーシャル・アンプによる太い音色は、以後のロックギターの基準を大きく変えました。同年、クラプトンはジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカーとクリームを結成。ブルースを土台にしながら、ジャズ的な即興と大音量のロックを融合し、「Sunshine of Your Love」「White Room」「Crossroads」などを通じて、ギタートリオの可能性を押し広げました。
クリーム解散後は、スティーヴ・ウィンウッドらとのブラインド・フェイス、デラニー&ボニー周辺での活動を経て、デレク・アンド・ザ・ドミノスを結成します。1970年の『Layla and Other Assorted Love Songs』では、ボビー・ウィットロック、カール・レイドル、ジム・ゴードンに加え、デュアン・オールマンが重要なゲストとして参加。タイトル曲「Layla」は、クラプトンのキャリアを代表する名曲となりました。
1974年の『461 Ocean Boulevard』で本格的にソロ活動へ復帰すると、ボブ・マーリーの「I Shot the Sheriff」を取り上げ、ギターヒーロー像とは別の、歌とグルーヴを中心にしたクラプトン像を確立します。1977年の『Slowhand』では「Cocaine」「Wonderful Tonight」「Lay Down Sally」が並び、ブルース、カントリー、ポップのバランスが最も自然な形で結びつきました。1992年の『Unplugged』では「Tears in Heaven」とアコースティック版「Layla」により、キャリア最大級の成功とグラミー受賞を手にします。
その後も『From the Cradle』でブルースへ回帰し、B.B.キングとの『Riding with the King』、J.J.ケイルとの『The Road to Escondido』、クリーム再結成公演、ロイヤル・アルバート・ホールでの長期的な活動など、クラプトンは過去を博物館化するのではなく、何度も演奏の場へ戻してきました。ロックの殿堂にはヤードバーズ、クリーム、ソロの3度にわたり殿堂入りしており、この点でも特別な位置にいます。
メンバー紹介
エリック・クラプトンのキャリアは、固定バンドひとつで語るより、時代ごとの重要な編成を押さえるほうが理解しやすくなります。ここでは、彼の音楽性を大きく動かした主要メンバーと共演者を整理します。
エリック・クラプトン(Eric Clapton/ギター、ボーカル)
中心人物であり、全時代を貫く存在です。初期はブルースのフレーズを太いトーンで鳴らすギタリストとして神格化されましたが、ソロ以降はボーカリスト、ソングライター、バンドリーダーとしての比重も増していきました。激情を一気に吐き出すソロと、抑えた歌心の両方を持つところがクラプトンらしさです。
ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ期
ジョン・メイオール、ジョン・マクヴィー、ヒューイ・フリントらと録音した『Blues Breakers with Eric Clapton』は、英国の若いミュージシャンがアメリカン・ブルースをどう自分たちの言葉へ変えたかを示す重要作です。ここでのクラプトンの音色は、後のハードロック・ギターにも大きな影響を与えました。
クリーム:ジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカー
ジャック・ブルースはベースとボーカル、ジンジャー・ベイカーはドラムを担当。ブルースだけでなくジャズやサイケデリックの要素を持ち込み、3人だけとは思えない音の密度を作りました。クラプトンはここで、歌の伴奏者ではなく、バンド全体とぶつかり合う即興奏者としての顔を強く示します。
ブラインド・フェイス:スティーヴ・ウィンウッド、ジンジャー・ベイカー、リック・グレッチ
1969年に結成された短命のスーパーグループです。スティーヴ・ウィンウッドの歌と鍵盤、ジンジャー・ベイカーのドラム、リック・グレッチのベース/バイオリンが加わり、クリーム後のクラプトンが、より歌とアンサンブルの方向へ向かう過渡期を記録しました。
デレク・アンド・ザ・ドミノス:ボビー・ウィットロック、カール・レイドル、ジム・ゴードン、デュアン・オールマン
クラプトンの最も切実なバンド表現を支えたメンバーです。ボビー・ウィットロックのソウルフルな鍵盤と歌、カール・レイドルのしなやかなベース、ジム・ゴードンの力強いドラムが土台となり、そこへデュアン・オールマンのスライドギターが加わりました。『Layla and Other Assorted Love Songs』の濃密さは、この編成の化学反応なしには成立しません。
1970年代ソロ・バンド:ジョージ・テリー、カール・レイドル、ジェイミー・オールデイカー、ディック・シムズ、イヴォンヌ・エリマン、マーシー・レヴィ
『461 Ocean Boulevard』以降のクラプトンを支えた重要な布陣です。南部ロック、レゲエ、カントリー、R&Bの要素が自然に混ざり、クリーム時代の爆発力とは違う、ゆったりしたグルーヴが生まれました。「I Shot the Sheriff」「Lay Down Sally」「Wonderful Tonight」の時代を支えた音の背景として欠かせません。
ネイザン・イースト、スティーヴ・ガッド、アンディ・フェアウェザー・ロウ、チャック・リーヴェル
1980年代後半以降のライブと録音を支えた名手たちです。ネイザン・イーストの安定したベースとハーモニー、スティーヴ・ガッドの深いグルーヴ、アンディ・フェアウェザー・ロウの堅実なギター、チャック・リーヴェルの鍵盤は、クラプトンの歌とブルースを現代的なステージへ整える役割を担いました。
代表アルバム紹介:エリック・クラプトン(Eric Clapton)の必聴盤
⚡ あなたの心に響く、一枚のアルバム
燃えるステージか、磨かれた歌心か
ブルースの火花、アコースティックの親密さ、ロイヤル・アルバート・ホールの余裕。クラプトンはライブ盤で表情が大きく変わります。
ブルースの荒々しさ、愛の痛み、穏やかな歌心。スタジオ盤ではクラプトンの変化がはっきり見えます。
— Golden Rocks: Words of Rock
Blues Breakers with Eric Clapton(1966年)
ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ名義で発表された『Blues Breakers with Eric Clapton』は、クラプトンの名を一気に神格化した重要作です。ジャケットでクラプトンが漫画雑誌『Beano』を読んでいることから「Beano Album」とも呼ばれます。ブルースのカバーとメイオールのオリジナルを通じて、英国の若者がアメリカン・ブルースを自分たちのロック語法へ変えていく瞬間が記録されています。
「All Your Love」「Hideaway」「Have You Heard」などで聴けるギターは、後年のクラプトンよりも荒々しく、音が太く、前へ出ています。レスポールとマーシャル・アンプの組み合わせによるトーンは、当時のギタリストたちに強烈な衝撃を与え、ブルースロックからハードロックへ向かう音の基準を作りました。
歌よりもギターの存在感をまず浴びたいなら、このアルバムは最初期クラプトンの核心です。まだヒットソングの作家ではなく、ブルースに取り憑かれた若いギタリストとしての迫力が、ほとんど剥き出しのまま残っています。
主な収録曲
- All Your Love
- Hideaway
- Little Girl
- Another Man
- Double Crossing Time
- What’d I Say
- Key to Love
- Have You Heard
🎸 こんな人に: 初期クラプトンのギターの凄みを知りたい方、ブリティッシュ・ブルースの基準点を押さえたい方、太いギター・トーンの原点を浴びたい方
Wheels of Fire(1968年)
クリームの『Wheels of Fire』は、スタジオ録音とライブ録音を組み合わせた二枚組アルバムです。「White Room」のようなサイケデリックで構築された楽曲と、「Crossroads」「Spoonful」のような長尺ライブが並び、クリームというバンドの二面性がよく見えます。
クラプトンにとってこの時期は、ブルースの枠を守るだけではなく、ブルースを大音量の即興ロックへ押し広げていた時代です。ジャック・ブルースのベースはしばしばリード楽器のように動き、ジンジャー・ベイカーのドラムはジャズの語法を持ち込みます。その中でクラプトンのギターは、歌の合間に差し込まれる装飾ではなく、バンド全体の会話を引き受ける声になります。
クリームを1枚で理解するには、『Disraeli Gears』の曲の強さも魅力ですが、ライブ文化まで含めたクラプトンの重要性を知るなら『Wheels of Fire』は外せません。後のハードロックやジャムバンド的な発想にもつながる、濃密な時代の記録です。
主な収録曲
- White Room
- Sitting on Top of the World
- Politician
- Born Under a Bad Sign
- Crossroads
- Spoonful
- Traintime
- Toad
🎸 こんな人に: クリームのスタジオ曲とライブ即興を一気に掴みたい方、「Crossroads」のクラプトンを聴きたい方、ハードロック以前の爆音トリオに触れたい方
Layla and Other Assorted Love Songs(1970年)
デレク・アンド・ザ・ドミノス唯一のスタジオ・アルバム『Layla and Other Assorted Love Songs』は、クラプトンのキャリアの中でも最も切実な作品です。名義から自分の名前を隠すようにして作られたこのバンドには、ボビー・ウィットロック、カール・レイドル、ジム・ゴードンが参加し、録音中にデュアン・オールマンが加わったことで、ギターの会話はさらに濃密になりました。
「Bell Bottom Blues」「Anyday」「Why Does Love Got to Be So Sad?」には、ブルース、ソウル、南部ロックの熱が詰まっています。そして「Layla」は、前半の切り裂くようなギター・リフと、後半のピアノ・コーダが対照的に響く、ロック史に残る構成を持つ曲です。恋情、焦燥、執着、解放が一曲の中で激しく形を変えます。
リリース当初は後年ほど大きな成功を収めませんでしたが、時間をかけてクラプトンの代表作として評価を固めました。ギターヒーローとしての彼だけでなく、痛みを抱えたソングライターとしての彼を聴くうえで、最重要の一枚です。
収録曲
- I Looked Away
- Bell Bottom Blues
- Keep On Growing
- Nobody Knows You When You’re Down and Out
- I Am Yours
- Anyday
- Key to the Highway
- Tell the Truth
- Why Does Love Got to Be So Sad?
- Have You Ever Loved a Woman
- Little Wing
- It’s Too Late
- Layla
- Thorn Tree in the Garden
🎸 こんな人に: クラプトンの最高傑作候補から入りたい方、デュアン・オールマンとのギターの絡みを聴きたい方、愛とブルースが燃え上がるロックを求める方
461 Ocean Boulevard(1974年)
『461 Ocean Boulevard』は、クラプトンが長い沈黙と混乱を越えて本格的にソロへ戻ったアルバムです。フロリダ州マイアミ近郊の住所をタイトルにしたこの作品では、クリーム時代の爆音や『Layla』の切迫感から距離を置き、歌、リズム、穏やかなグルーヴが中心になります。
最大のヒットはボブ・マーリーのカバー「I Shot the Sheriff」です。レゲエをそのままコピーするのではなく、クラプトンのバンドらしい余白とブルース感を持たせたことで、彼の新しいソロ像を広く印象づけました。「Let It Grow」や「Motherless Children」には、静かな再生と南部的な土の匂いが同居しています。
このアルバム以降、クラプトンは「速く弾く人」だけではなく、「歌い、曲を選び、バンドの温度を作る人」になっていきます。派手さは抑えられていますが、その抑制こそが1970年代ソロ・クラプトンの魅力を形作っています。
収録曲
- Motherless Children
- Give Me Strength
- Willie and the Hand Jive
- Get Ready
- I Shot the Sheriff
- I Can’t Hold Out
- Please Be with Me
- Let It Grow
- Steady Rollin’ Man
- Mainline Florida
🎸 こんな人に: 穏やかなソロ・クラプトンから入りたい方、「I Shot the Sheriff」の背景をアルバム単位で知りたい方、南部ロックやレゲエの香りが混ざる作品が好きな方
E.C. Was Here(1975年)
『E.C. Was Here』は、1974〜1975年のライブ音源をもとにしたアルバムです。『461 Ocean Boulevard』で穏やかなソロ像を見せた直後のクラプトンが、ステージではなおブルースの長尺演奏に強く引き寄せられていたことを伝える一枚です。
「Have You Ever Loved a Woman」「Driftin’ Blues」「Further On Up the Road」など、ブルース曲が中心に置かれ、スタジオ盤よりもギターの伸びや呼吸がはっきり出ています。クリーム時代の過剰な爆音とは違い、バンドの隙間を使いながら、必要なところで熱を上げていく演奏です。
クラプトンのライブ盤としては『Unplugged』が最も広く知られていますが、エレクトリック・ブルース奏者としての彼を確認するなら、この作品は非常に重要です。歌ものへ向かう1970年代ソロ期と、ブルースへの執着が交差する場所にあります。
収録曲
- Have You Ever Loved a Woman
- Presence of the Lord
- Driftin’ Blues
- Can’t Find My Way Home
- Rambling on My Mind
- Further On Up the Road
🎸 こんな人に: エレクトリック・ブルース奏者としてのクラプトンを聴きたい方、1970年代ソロ期のライブ感を知りたい方、長尺のギター表現をじっくり味わいたい方
Slowhand(1977年)
『Slowhand』は、ソロ・クラプトンの代表作として最も親しみやすい一枚です。ニックネームをそのまま冠したタイトルの通り、ここにはギターの神話だけでなく、歌い手としてのクラプトン、曲を選ぶクラプトン、バンド全体の空気を整えるクラプトンがいます。
J.J.ケイル作の「Cocaine」、ロマンティックなバラード「Wonderful Tonight」、カントリー・ロック調の「Lay Down Sally」が同じアルバムに並ぶ構成は、クラプトンの幅の広さをよく示しています。激しく弾き倒すのではなく、歌とリズムの中でギターが必要なだけ光る。その抑え方が本作の強みです。
1970年代のクラプトンを初めて聴くなら、『461 Ocean Boulevard』と並んで最適な入口です。ブルース、ポップ、カントリーの境界を力まず越えていく感覚が、長く聴かれ続ける理由になっています。
収録曲
- Cocaine
- Wonderful Tonight
- Lay Down Sally
- Next Time You See Her
- We’re All the Way
- The Core
- May You Never
- Mean Old Frisco
- Peaches and Diesel
🎸 こんな人に: 「Cocaine」「Wonderful Tonight」「Lay Down Sally」をまとめて押さえたい方、歌ものクラプトンから入りたい方、落ち着いた1970年代ロックが好きな方
Just One Night(1980年)
『Just One Night』は、1979年12月の日本武道館公演を収めたライブ盤です。クラプトンにとって日本公演は長く重要な意味を持ちますが、この作品はその関係を象徴する初期の公式ライブ盤としても価値があります。
「Tulsa Time」「Early in the Morning」「After Midnight」「Cocaine」「Further On Up the Road」など、ブルース、カントリー、ロックが自然に並びます。アルバート・リーのギター、クリス・ステイントンの鍵盤、デイヴ・マーキーのベース、ヘンリー・スピネッティのドラムも堅実で、クラプトンが一人で前へ出るというより、バンドとして大きく呼吸しているのが魅力です。
1970年代ソロ期の集大成としても聴けるライブ盤です。『E.C. Was Here』がブルースの熱を前面に出す作品だとすれば、『Just One Night』は歌もの、カバー、ブルースをバランスよく配置した、成熟したステージの記録です。
主な収録曲
- Tulsa Time
- Early in the Morning
- Lay Down Sally
- Wonderful Tonight
- After Midnight
- Cocaine
- Further On Up the Road
🎸 こんな人に: 日本武道館でのクラプトンを聴きたい方、1970年代ソロ期の代表曲をライブで押さえたい方、バンド全体のグルーヴを重視する方
Unplugged(1992年)
『Unplugged』は、MTVの番組企画から生まれたライブ・アルバムであり、クラプトンのキャリア最大級の成功作です。アコースティック編成で代表曲とブルースを再構成し、過去の名曲を懐かしむだけではなく、まったく違う手触りで再発明しました。
「Tears in Heaven」は、個人的な悲しみを静かな歌へ昇華した曲として広く知られています。さらに「Layla」は原曲の激しさを解体し、軽やかなシャッフル感を持つ別の曲のように生まれ変わりました。「Before You Accuse Me」「Malted Milk」「Nobody Knows You When You’re Down and Out」などのブルース曲も、クラプトンのルーツを自然に伝えます。
1993年のグラミー賞では『Unplugged』関連を含めて大きな評価を受け、クラプトンは新しい世代にも届く存在になりました。ギターの速さより、声、間、余韻を聴くアルバムとして、今も入門盤の最有力です。
主な収録曲
- Signe
- Before You Accuse Me
- Hey Hey
- Tears in Heaven
- Lonely Stranger
- Nobody Knows You When You’re Down and Out
- Layla
- Running on Faith
- San Francisco Bay Blues
- Malted Milk
- Old Love
- Rollin’ & Tumblin’
🎸 こんな人に: 初めてエリック・クラプトンを聴く方、アコースティックで代表曲を味わいたい方、「Tears in Heaven」と「Layla」を同じ文脈で聴きたい方
From the Cradle(1994年)
『From the Cradle』は、クラプトンがブルースの古典へ正面から戻ったアルバムです。ロバート・ジョンソン、フレディ・キング、マディ・ウォーターズ、エルモア・ジェイムズらの楽曲を取り上げ、ロック的な装飾を増やすのではなく、ブルースそのものの呼吸に寄り添っています。
『Unplugged』で大きな商業的成功を得た直後に、ここまで徹底してブルース・カバー集を作ったことは、クラプトンの根がどこにあるかをはっきり示しています。「Blues Before Sunrise」「Third Degree」「Five Long Years」「Groaning the Blues」など、歌とギターの両方に年輪が出た演奏が並びます。
若い頃のブルース信仰を、円熟した声と演奏で改めて引き受けた作品です。ギターヒーローの名盤というより、ブルースを学び直すための濃い入口として聴くと、このアルバムの強さが見えてきます。
主な収録曲
- Blues Before Sunrise
- Third Degree
- Reconsider Baby
- Hoochie Coochie Man
- Five Long Years
- I’m Tore Down
- It Hurts Me Too
- Groaning the Blues
🎸 こんな人に: クラプトンのブルース回帰を聴きたい方、カバー曲を通じてルーツを知りたい方、派手さよりも濃い歌とギターを求める方
おすすめの名曲:エリック・クラプトン(Eric Clapton)の名曲セレクション
All Your Love(『Blues Breakers with Eric Clapton』収録)
初期クラプトンの太いトーンを知るうえで重要な一曲です。ブルースのフレーズを英国ロックの音量で鳴らすことで、ギターそのものが曲の主役になる感覚を強く打ち出しています。
Sunshine of Your Love(クリーム/『Disraeli Gears』収録)
クリームを代表するリフの名曲です。ブルース、サイケデリック、ハードロックが一つに溶け、クラプトンのギターがバンド全体の重心を作っています。歌ものとしても強く、クリームの入口として最適です。
Crossroads(クリーム/『Wheels of Fire』収録)
ロバート・ジョンソンのブルースを、クリームが高速のライブ・ロックへ変えた名演です。クラプトンのソロは、ブルースの語法を守りながらも、ロックギターの興奮へ一気に押し上げています。
Presence of the Lord(ブラインド・フェイス/『Blind Faith』収録)
ブラインド・フェイス期のクラプトンを象徴する曲です。スティーヴ・ウィンウッドの歌と、クラプトンの抑えたギターが重なり、クリーム後の彼がより歌と精神性のある方向へ進もうとしていたことが伝わります。
Layla(デレク・アンド・ザ・ドミノス/『Layla and Other Assorted Love Songs』収録)
クラプトンのキャリアを代表するロック・スタンダードです。切迫したギター・リフ、デュアン・オールマンとの絡み、後半のピアノ・コーダが一体となり、恋情の激しさと哀しさを一曲の中に封じ込めています。
Bell Bottom Blues(デレク・アンド・ザ・ドミノス/『Layla and Other Assorted Love Songs』収録)
「Layla」ほど派手ではありませんが、クラプトンの歌心を深く味わえる名曲です。ブルースの痛みをロック・バラードとして形にし、彼がギタリストであると同時に優れたシンガーであることを示しています。
I Shot the Sheriff(『461 Ocean Boulevard』収録)
ボブ・マーリーの楽曲を取り上げ、クラプトンのソロ・キャリアを大きく押し上げた代表曲です。レゲエのリズムを自分のバンド感覚へ取り込み、1970年代のクラプトンがギターヒーローから歌中心のアーティストへ変化したことを示しました。
Wonderful Tonight(『Slowhand』収録)
クラプトンのロマンティックな側面を代表するバラードです。技巧よりも、短いフレーズの間合いと声の温度が大切にされており、シンプルな曲ほど彼の抑制が光ることを教えてくれます。
Cocaine(『Slowhand』収録)
J.J.ケイル作の楽曲をクラプトンが広く知らしめた代表的カバーです。重くなりすぎないグルーヴ、簡潔なリフ、乾いた歌が一体となり、ライブでも長く重要曲として演奏されてきました。
Tears in Heaven(『Unplugged』収録)
クラプトンの私的な悲しみから生まれた曲であり、1990年代の彼を象徴する名曲です。大きく感情を煽るのではなく、静かに言葉を置いていくことで、聴き手の胸に深く残ります。
Eric Claptonのキャリア年表
1963
ヤードバーズに加入。ロンドンのR&Bシーンで注目され、「Slowhand」のニックネームも広まっていきました。
1965
ヤードバーズを離れ、ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズへ。より純度の高いブルースを追求しました。
1966
『Blues Breakers with Eric Clapton』を発表。同年、ジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカーとクリームを結成しました。
1967〜1968
クリームで『Disraeli Gears』『Wheels of Fire』を発表。「Sunshine of Your Love」「White Room」「Crossroads」などが代表曲となりました。
1969
スティーヴ・ウィンウッド、ジンジャー・ベイカー、リック・グレッチとブラインド・フェイスを結成。アルバム1枚とツアーを残しました。
1970
ソロ・アルバム『Eric Clapton』を発表。さらにデレク・アンド・ザ・ドミノスとして『Layla and Other Assorted Love Songs』を制作しました。
1973〜1974
レインボー・シアター公演で復帰のきっかけを掴み、1974年に『461 Ocean Boulevard』を発表。「I Shot the Sheriff」が大きな成功を収めました。
1975〜1980
『E.C. Was Here』『Slowhand』『Just One Night』などを発表。ソロ・アーティストとしての代表曲とライブの型を固めました。
1985〜1989
Live Aid出演、映画音楽、ロイヤル・アルバート・ホール公演、アルバム『August』『Journeyman』などで新しい世代にも存在感を示しました。
1992〜1994
『Unplugged』と「Tears in Heaven」で大きな評価を獲得。続く『From the Cradle』でブルースへの強い回帰を示しました。
2000〜2007
B.B.キングとの『Riding with the King』、ロバート・ジョンソンへのトリビュート、J.J.ケイルとの『The Road to Escondido』など、ルーツ音楽との関係を深めました。
2005〜2015
クリーム再結成公演、スティーヴ・ウィンウッドやジェフ・ベックとの共演、70歳記念公演『Slowhand at 70』など、ライブ活動を継続しました。
2016〜現在
『I Still Do』『Happy Xmas』などを発表。大規模な長期ツアーは抑えつつ、録音と限定的な公演を続けています。
エリック・クラプトンの音楽が生まれた時代背景

クラプトンが登場した1960年代前半のイギリスでは、アメリカのブルースやR&Bが若いミュージシャンの重要な教材になっていました。マディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフ、B.B.キング、フレディ・キング、ロバート・ジョンソンらの録音は、ロンドンのクラブ・シーンで熱心に聴かれ、ヤードバーズやローリング・ストーンズ、ブルースブレイカーズ周辺のバンドがそれを自分たちの音へ変えていきました。
1966〜1968年のクリーム期には、ロックは急速に大音量化し、サイケデリック、ブルース、ジャズの要素が交差します。長尺の即興、アンプの歪み、リズム隊との対等な応酬は、ポップ・ソング中心だったロックの聴き方を変えました。クラプトンはその渦中で、ブルースの言葉を使いながら、まったく新しいロックギターのスケールを提示しました。
1970年代に入ると、彼はアメリカ南部の音楽、レゲエ、カントリー、シンガーソングライター的な歌心へ近づきます。『461 Ocean Boulevard』や『Slowhand』には、ギターを前面に出しすぎない余白があります。1990年代の『Unplugged』では、アコースティック・ブームとクラプトン自身の人生経験が重なり、派手な音ではなく、声と間で届くロックの形が世界的に受け入れられました。
クリーム(Cream)の魅力に迫る
クラプトン、ジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカーによって結成されたクリームは、活動期間わずか2年半ながらロックの歴史に鮮烈な足跡を残した「スーパーグループ」の先駆けです。ブルースを土台にジャズ、サイケデリック、大音量のロックを融合した独自のスタイルは、当時の音楽シーンに新たな風を吹き込みました。クラプトンのギタリストとしての原点のひとつでもあるクリームの音楽と軌跡を、こちらの記事で詳しく解説しています。
知られざるエリック・クラプトン(Eric Clapton):神話の裏にある5つの素顔
① 「Clapton is God」神と呼ばれた男の複雑な本音
1960年代半ば、ロンドンのイズリントンにある地下鉄駅の壁に「Clapton is God」というスプレーの落書きが現れました。クラプトンがジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズに在籍していた時期のことです。
言葉はまたたく間にロンドン中のクラブのトイレや建設現場の壁に広がり、やがてニューヨークでも目撃されるようになりました。書いた人物は今も正式には不明ですが、クラプトン本人が後年のインタビューで、ヤードバーズ関係者のプロモーターが書いた可能性を示唆しています。
本人はこの落書きについて「嫌悪感と喜びを同時に感じた」と語っています。自分にはナルシストな面もある一方で強い劣等感もある。称賛は嬉しいが、自分がその値打ちのある人間だとは思えない、という複雑な心境でした。なお、後に「犯人」を名乗る人物が「『Good(良い)』と書こうとしてスペルを間違えた」と発言したという話も残っており、真偽は定かではありませんが、神話の意外な裏面として語り継がれています。
② ロバート・ジョンソンへの執着、40年以上
クラプトンが10代でロバート・ジョンソンの音楽を初めて聴いたとき、「完全に圧倒されたが、その強烈さに引いた部分もあった」と後に語っています。
それでも「今まで聴いた中で最も力強かったから虜になった。彼だけが誰にも妥協せず、魂から語りかけていた」と。ブルースのレコードをテープに録り、自分の演奏と何度も聴き比べて完璧になるまで繰り返すという独学スタイルで腕を磨いたクラプトンにとって、ジョンソンは生涯の基準点でした。
その執着は40年以上続き、2004年にはトリビュート・アルバム『Me and Mr. Johnson』を制作しました。この作品の誕生経緯も興味深く、スタジオで別のオリジナル曲を作ろうとしていたセッションが行き詰まり、気分転換にジョンソンの曲を弾き始めたところ、気づけばアルバム一枚分の録音ができあがっていたといいます。
③ ビートルズのギタリストになりかけた
クラプトンとジョージ・ハリスンの友情は1964年12月、ヤードバーズがビートルズのクリスマスショーの前座を務めたときに始まりました。1968年、ハリスンは「While My Guitar Gently Weeps」のセッションにクラプトンを招きますが、クラプトンの最初の反応は「ビートルズのレコードに外部の人間が弾くなんて無理だ」という戸惑いでした。
ハリスンの強い説得でようやく承諾し、録音後にクラプトンが「ビートルズらしくない」と漏らすと、テープにADT処理(音に揺らぎを加える効果)を施して解決したといいます。
そして翌1969年1月、ハリスンがビートルズを一時脱退した翌日、ジョン・レノンが残りのメンバーに向かって「ジョージが戻らなければエリック・クラプトンに声をかけよう。同じくらい上手くて、面倒じゃない」と語った音声が録音に残っています。クラプトンはハリスンの親友であり、ハリスンの代わりの候補でもあったという皮肉な二面性が、この時期の記録に刻まれています。
④ 「Layla」は親友の妻への片思いから生まれた
デレク・アンド・ザ・ドミノスの「Layla」は、クラプトンが親友ジョージ・ハリスンの妻パティ・ボイドへの叶わぬ恋情を抱えながら書いた曲です。
タイトルは7世紀のベドウィンの古典詩『ライラとマジュヌーン』叶わぬ恋に狂っていく男の物語、から取られており、自分の状況と重ね合わせたものでした。
曲を書いた頃、クラプトンはパティに手紙を送っています。ハリスンの自宅に届いたその手紙には「あなたはまだご主人を愛していますか?もし私への気持ちが少しでも残っているなら、知らせてほしい」とあり、パティは最初ファンレターだと思い込んでいたところ、その晩クラプトン本人から電話がかかってきて自分が書いたと明かしたといいます。
「Layla」は当初さほどヒットせず、パティはすぐには動きませんでした。しかしジョージが書いた「Something」、クラプトンが書いた「Layla」と「Wonderful Tonight」ロック史に残る三曲がすべて同じ一人の女性への曲であることは、今も語り継がれています。
⑤ 日本武道館、非日本人初の100回公演
クラプトンの日本初公演は1974年10月31日、日本武道館でした。以来、英国と米国を除けば世界で最も多く公演を行っている国が日本で、2025年の来日は24回目を数えます。2023年には武道館での通算100公演を達成した初の非日本人アーティストとなり、2025年時点でその数は110回に達しています。
日本への愛着は数字だけにとどまりません。クラプトンは「東京に着いたらホテルに荷物を置いて、すぐに浜のステーキハウスへ向かう。もう34年間ずっとそうしている」と語っており、長年のプロモーターである内藤氏との友情も深く、200回目の日本公演を記念したバックステージでのエピソードには「悪い子だったときも支えてくれた」というクラプトンの言葉が残っています。数字と習慣の両方に、この国への本物の縁が見えます。
Eric Claptonのライブ文化を彩る3つの要素
🎸 ブルース曲が長く息をする余白
「Have You Ever Loved a Woman」や「Further On Up the Road」のような曲では、テーマよりも間、反応、音色の変化が主役になります。ライブ盤でこそ、クラプトンのブルースへの執着が見えます。
🥁 バンドが歌を支える安定感
1970年代のソロ・バンドから近年の公演まで、クラプトンのライブは名手たちの堅実な支えが大きな魅力です。ギターだけでなく、歌とグルーヴの居場所が丁寧に作られています。
🔥 代表曲を別の形へ作り替える力
『Unplugged』の「Layla」のように、クラプトンは代表曲をそのまま再現するだけでなく、時代や編成に合わせて曲の温度を変え、別の表情を引き出しています。
Eric Clapton「Cocaine」静かなるブルース・ロック名演
「Cocaine」は、J.J. Caleが作曲した楽曲を、Eric Claptonが1977年発表のアルバム『Slowhand』で取り上げたことで広く知られるようになった代表曲です。シンプルで重たいギターリフと、抑えたボーカル、淡々と進むグルーヴが印象的な、クラプトンらしいブルース・ロックの名曲として知られています。
曲の背景と特徴
この楽曲は、派手な展開で盛り上げるタイプの曲ではありません。むしろ、同じリフをじっくり反復しながら、その中に独特の緊張感を作っていくところに大きな魅力があります。
J.J. Caleらしい乾いた感触のある曲を、クラプトンはよりロック寄りのサウンドに仕上げました。重く刻まれるリズムと、余白を大切にしたギターの響きが合わさり、シンプルでありながら深い味わいを持つ演奏になっています。
この映像は、2015年のコンサート・フィルム『Eric Clapton: Live at the Royal Albert Hall』からのパフォーマンスです。この作品は、クラプトンの70歳を記念する公演の一部として収録され、ロンドンの名会場ロイヤル・アルバート・ホールで行われました。
音楽的な魅力
「Cocaine」の中心にあるのは、一度聴いたら耳に残るギターリフです。音数は決して多くありませんが、そのぶん一音一音の重みが強く、曲全体をゆっくりと引っ張っていきます。
クラプトンのギターは、速弾きで圧倒するのではなく、間合いとトーンで聴かせるタイプです。乾いた音色、短いフレーズ、そして必要以上に弾きすぎない余裕が、この曲に独特の渋さを与えています。
ボーカルもまた、感情を大きく爆発させるのではなく、淡々と歌うことで曲の不穏な雰囲気を引き立てています。その落ち着いた歌い方が、かえって楽曲の重さを強く感じさせます。
ライブで輝く定番曲
「Cocaine」は、Eric Claptonのライブで長く演奏されてきた定番曲のひとつです。特にロイヤル・アルバート・ホールでの演奏では、クラプトンと会場の長い関係も重なり、ただのヒット曲ではなく、彼のキャリアを象徴する一曲として響いてきます。
この映像では、熟練したバンドの演奏に支えられながら、クラプトンが力みすぎず、自然体で曲を鳴らしているところが印象的です。派手な演出に頼らず、リフとグルーヴだけで観客を引き込んでいく姿に、長年ステージに立ち続けてきたミュージシャンの深みがあります。
少ない音数で大きな存在感を生み出すことこそが最大の魅力 「Cocaine」は、Eric Claptonのブルース・ロック精神を静かに体現する名曲です。
Eric Clapton「Key To The Highway」旅するブルースの名演
「Key To The Highway」は、古くから多くのブルース・ミュージシャンに歌い継がれてきたブルース・スタンダードです。Eric Claptonにとっても重要なレパートリーのひとつで、Derek and the Dominos時代から長く演奏されてきた名曲として知られています。
曲の背景と特徴
この楽曲は、別れや旅立ちをテーマにした、いかにもブルースらしい一曲です。タイトルの「Key To The Highway」には、道へ出ていく自由や、ひとつの場所に留まらず歩き続ける男の姿が重なっています。
もともとは1940年代に録音された古いブルース曲ですが、その後さまざまなアーティストによって演奏され、ブルースの定番曲として広く知られるようになりました。Eric Claptonは、この曲を自分のブルースのルーツを語るように、何度もステージで取り上げています。
音楽的な魅力
「Key To The Highway」の魅力は、ゆったりとしたテンポの中にある深い味わいです。派手な展開で聴かせる曲ではなく、ギターの一音一音、ボーカルの間合い、バンド全体の呼吸でじっくり聴かせるタイプのブルースです。
クラプトンのギターは、ここでも弾きすぎません。短いフレーズの中に感情を込め、音と音の隙間にブルースの深みを感じさせます。長いキャリアを重ねてきたクラプトンだからこそ出せる、落ち着いた説得力があります。
ボーカルもまた、力で押し切るのではなく、言葉を噛みしめるように歌われています。人生の旅、別れ、自由への憧れ。そうしたブルースの世界が、静かに伝わってきます。
ライブで輝く定番曲
この映像は、ロンドンの名会場ロイヤル・アルバート・ホールでのライブ演奏です。クラプトンにとってロイヤル・アルバート・ホールは特別な場所であり、長年にわたって数多くの名演を残してきました。
この演奏では、会場の空気とバンドの落ち着いたグルーヴが合わさり、古いブルース曲が現代のライブの中で自然に息づいています。華やかなロックショーというより、クラプトンが自分の原点に立ち返り、ブルースと静かに向き合っているような演奏です。
旅を続けるブルースマンの心を、穏やかなギターと歌で描き出す 「Key To The Highway」は、Eric Claptonのブルースへの深い敬意が感じられる名演です。
Eric Clapton「Layla」壮大に響くオーケストラ名演
「Layla」は、Eric ClaptonがDerek and the Dominos時代に発表した、ロック史に残る代表曲です。激しいギターリフと切実な感情を持つ原曲は、クラプトンのキャリアを語るうえで欠かせない名曲として知られています。
曲の背景と特徴
この楽曲は、1970年発表のアルバム『Layla and Other Assorted Love Songs』に収録されました。原曲はDerek and the Dominos名義で発表され、Eric ClaptonとJim Gordonの共作として知られています。
「Layla」は、前半の強烈なギターリフと、後半の美しいピアノ・パートという、二つの表情を持つ曲です。激しいロックの情熱と、静かに広がる哀しみが同じ曲の中に共存しているところに、この曲の大きな魅力があります。
この映像は、1991年のロイヤル・アルバート・ホール公演で演奏されたオーケストラ・バージョンです。『24 Nights』は、Eric Claptonが1990年と1991年にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行った全42公演をもとにしたライブ作品で、2023年には『The Definitive 24 Nights』として拡張版も発表されました。
音楽的な魅力
このバージョンの魅力は、原曲のロック色を残しながら、オーケストラによってより壮大な響きに生まれ変わっているところです。ギターだけで突き進むのではなく、弦楽器や管弦楽の広がりが加わることで、曲の持つドラマ性がさらに大きくなっています。
クラプトンのギターは、オーケストラの中でも埋もれることなく、しっかりと存在感を放っています。激しく弾き倒すというより、全体の響きの中で必要なフレーズを選びながら、曲の感情を丁寧に引き出している印象です。
そして、後半へ向かうにつれて、曲はさらに大きな流れを作っていきます。原曲でも印象的だった美しい余韻が、オーケストラの響きによってより深く、より映画的に広がっていきます。
ライブで輝く定番曲
「Layla」は、Eric Claptonのライブで何度も演奏されてきた代表曲です。その中でも、このロイヤル・アルバート・ホールでのオーケストラ・バージョンは、通常のロック・バンド編成とは違う特別な響きを持っています。
『24 Nights』の公演では、ロック・バンド、ブルース・バンド、オーケストラなど、異なる編成で演奏が行われました。オーケストラ公演では、Michael Kamenが指揮を担当し、National Philharmonic Orchestraも参加しています。
この映像では、クラプトンの代表曲が、単なるロック・ナンバーではなく、大きな物語を持った楽曲として立ち上がってきます。若い頃の衝動だけではなく、長いキャリアを重ねた後だからこそ表現できる深みが感じられます。
激しい情熱と美しい余韻を、オーケストラの響きで包み込む 「Layla」は、Eric Claptonの音楽人生を象徴する永遠の名曲です。
Eric Clapton「Wonderful Tonight」静かに寄り添う名バラード
「Wonderful Tonight」は、Eric Claptonが1977年発表のアルバム『Slowhand』に収録した代表的なバラードです。激しいギターで聴かせる曲ではなく、やさしいメロディ、穏やかな歌声、そして控えめなギターの響きで、深い愛情を静かに伝える名曲として知られています。
曲の背景と特徴
この楽曲は、Eric Claptonが当時の恋人であり、のちに妻となるPattie Boydを思って書いた曲として知られています。特別な言葉を並べるのではなく、日常の何気ない場面の中にある美しさを、まっすぐに歌っているところが大きな魅力です。
「Wonderful Tonight」は、クラプトンの代表曲の中でも、とても穏やかな表情を持つ一曲です。ロックの力強さよりも、言葉のやさしさとメロディの温かさが前に出ています。そのため、ブルースやロックをあまり聴かない人にも届きやすい、親しみやすい名曲になっています。
音楽的な魅力
この曲の中心にあるのは、ゆっくりと流れるメロディと、クラプトンの控えめなギターです。音数は多くありませんが、その一音一音にやさしい余韻があります。
クラプトンのギターは、ここでも弾きすぎません。短いフレーズを丁寧に置いていくことで、歌の世界をそっと支えています。派手なソロで前に出るのではなく、曲全体の空気を壊さないように寄り添う演奏が印象的です。
ボーカルもまた、力強く歌い上げるというより、近くにいる人へ語りかけるような雰囲気があります。その落ち着いた歌い方が、曲の持つ親密さをより深く感じさせます。
ライブで輝く定番曲
この映像は、『In Concert: A Benefit for the Crossroads Centre at Antigua』からの公式ライブ映像です。Eric Claptonが自ら関わるCrossroads Centreのために行われたベネフィット・コンサートの中で演奏されたもので、ステージ全体に落ち着いた温かさが感じられます。
「Wonderful Tonight」は、クラプトンのライブでも長く演奏されてきた定番曲です。大きな盛り上がりで観客を圧倒する曲ではありませんが、会場全体をやわらかい空気で包み込む力があります。
このライブ映像では、クラプトンの歌とギターが、無理なく自然に響いています。長いキャリアを重ねたミュージシャンだからこそ出せる、穏やかで深みのある演奏です。
何気ない愛情を、静かなメロディとギターで描き出す ー「Wonderful Tonight」は、Eric Claptonのやさしい一面を象徴する永遠の名バラードです。
Eric Clapton「Layla」静かに生まれ変わった名曲
「Layla」は、Eric ClaptonがDerek and the Dominos時代に発表した、ロック史に残る代表曲です。もともとは激しいギターリフと切実な感情で知られるロック・ナンバーですが、1992年の『MTV Unplugged』では、まったく違う表情を持つアコースティック・バージョンとして生まれ変わりました。
曲の背景と特徴
原曲の「Layla」は、1970年発表のアルバム『Layla and Other Assorted Love Songs』に収録された楽曲です。前半の鋭いギターリフと、後半の美しいピアノ・パートが印象的で、Eric Claptonのキャリアを象徴する一曲として長く愛されてきました。
しかし、この『Unplugged』版では、原曲の激しさをそのまま再現するのではなく、テンポを落とし、ブルースやジャズの香りを感じさせる落ち着いたアレンジに変えています。聴き慣れた「Layla」でありながら、まるで別の曲のように響くところが、この演奏の大きな魅力です。
この映像は、1992年1月にイギリスのBray Studiosで収録された『MTV Unplugged』の演奏をもとにしたものです。2025年には『Eric Clapton Unplugged… Over 30 Years Later』として、拡張リマスター版が公開され、この「Layla」の公式ライブ映像も改めて紹介されました。
音楽的な魅力
このバージョンの中心にあるのは、アコースティック・ギターによる軽やかなリズムです。原曲のように電気的な迫力で押し切るのではなく、跳ねるようなグルーヴと、余裕のある歌い回しで聴かせています。
クラプトンのギターは、ここでも弾きすぎません。短いフレーズを丁寧に置きながら、曲全体の雰囲気を作っていきます。原曲の激しい感情を、年齢を重ねたミュージシャンが少し距離を置いて見つめ直しているような深みがあります。
ボーカルもまた、若い頃の叫ぶような切実さではなく、穏やかで軽やかな表情を持っています。その変化によって、「Layla」は苦しい恋の歌でありながら、どこか肩の力が抜けた、大人のブルースのように響いてきます。
ライブで輝く定番曲
『MTV Unplugged』での「Layla」は、Eric Claptonのキャリアにとって大きな転機となった演奏のひとつです。このライブ・アルバム『Unplugged』は世界的な成功を収め、グラミー賞でも高く評価されました。
この演奏では、名曲をただ懐かしく再演するのではなく、まったく新しい形に作り替えることで、曲の寿命をさらに伸ばしています。ロックの名曲が、アコースティック・ブルースとしてもう一度生まれ変わる。その瞬間を記録した映像だと言えます。
激しい情熱を、静かなグルーヴへと変えて聴かせる ー「Layla」Unplugged版は、Eric Claptonの成熟した音楽性を象徴する名演です。
George Harrison「While My Guitar Gently Weeps」友に捧げるギターの祈り
「While My Guitar Gently Weeps」は、George HarrisonがThe Beatles時代に書いた代表曲のひとつです。1968年発表のアルバム『The Beatles』、いわゆる『ホワイト・アルバム』に収録され、Eric Claptonがゲストとしてリードギターを弾いたことでもよく知られています。
曲の背景と特徴
この楽曲は、George HarrisonがThe Beatlesの中で作曲家として大きな存在感を示した作品のひとつです。静かな悲しみをたたえたメロディと、深く沈み込むような歌詞の世界が合わさり、ロックでありながら祈りのような響きを持っています。
この映像は、2002年11月29日にロンドンのRoyal Albert Hallで行われた『Concert for George』からの演奏です。George Harrisonの死からちょうど1年後に開かれた追悼コンサートで、Eric Claptonが音楽監督を務め、Paul McCartney、Ringo Starr、Dhani Harrisonをはじめ、Georgeと深いつながりを持つミュージシャンたちが参加しました。
原曲でリードギターを弾いたEric Claptonが、ここでも大きな役割を担っていることが、この演奏を特別なものにしています。単なる再演ではなく、友人George Harrisonへ向けた深い敬意と別れの思いが込められた演奏です。
音楽的な魅力
このライブの魅力は、Paul McCartneyの歌、Ringo Starrのドラム、Eric Claptonのギター、そしてDhani Harrisonの存在がひとつになっているところです。The Beatlesの記憶と、George Harrisonの家族、そして長年の友人たちが同じステージに立つことで、曲そのものに特別な重みが生まれています。
Eric Claptonのギターは、ここでも泣き叫ぶように前へ出すぎるのではなく、曲の悲しみを静かに支えるように響いています。音数を詰め込むのではなく、ひとつひとつのフレーズに感情を込めることで、タイトルどおり「ギターがそっと泣いている」ような空気を作り出しています。
Paul McCartneyのボーカルは、Georgeの曲を自分の歌として奪うのではなく、友人の歌を丁寧に預かるような響きがあります。そこにRingoのドラムが加わることで、かつてのThe Beatlesの時間が、追悼の場で静かに立ち上がってくるように感じられます。
ライブで輝く追悼の名演
『Concert for George』は、George Harrisonの音楽を祝福するための特別なコンサートでした。悲しみだけでなく、Georgeが愛した音楽、ユーモア、精神性までも含めて、彼の人生をあたたかく見送るような公演です。
この「While My Guitar Gently Weeps」では、演奏の中心にいる全員が、George Harrisonとの深いつながりを持っています。Paul McCartneyとRingo StarrはThe Beatlesの仲間であり、Eric Claptonは原曲にも参加した親友であり、Dhani HarrisonはGeorgeの息子です。
そのため、この演奏には通常のライブ映像とは違う空気があります。名曲を上手に演奏しているだけではなく、ひとりのミュージシャンの人生を、音で静かに抱きしめているような深さがあります。
友への想いを、歌とギターで静かに捧げる 「While My Guitar Gently Weeps」は、George Harrisonの魂を今もやさしく響かせる追悼の名演です。
Eric Clapton 関連リンク
Eric Clapton公式サイト
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