
はじめに

エルトン・ジョンってどんなアーティスト?
エルトン・ジョン(Elton John)は、イギリス出身のシンガーソングライターで、世界中で愛されているポップ&ロックのレジェンドです。
1970年代からヒット曲を次々と生み出し、ピアノを中心にした情熱的で美しいメロディ、そして心にしみる歌詞が多くの人々の共感を呼びました。
本名はレジナルド・ケネス・ドワイト。幼い頃からピアノの才能に恵まれ、1960年代後半に作詞家バーニー・トーピンと出会ったことで、彼の音楽人生は大きく動き出します。この二人のコンビは、今でも音楽界で伝説的なパートナーとして知られています。
代表曲には「Your Song(ユア・ソング)」「Rocket Man(ロケット・マン)」「Tiny Dancer(タイニー・ダンサー)」「Candle in the Wind(キャンドル・イン・ザ・ウィンド)」などがあり、どれも世界中で長く愛されています。
エルトン・ジョンは2023年にツアー活動を引退しましたが、彼の音楽はこれからもずっと色あせることなく、聴く人の心を温め続けるでしょう。
「Your Song」が発表された背景や有名になったきっかけ
Your Song(ユア・ソング)」は、エルトン・ジョンが1970年にリリースした初期の代表曲で、彼の名前を世界に広めた記念すべき一曲です。
この曲は、エルトン・ジョンと長年のパートナーであるバーニー・トーピンが制作したもので、まだ彼らが20代前半だったころに書かれました。
歌詞はバーニーが一気に書き上げたもので、エルトン・ジョンはそれを見てすぐにメロディをつけたと言われています。シンプルでまっすぐな愛の言葉が、ピアノのやさしい旋律にのって響くこの曲は、当初B面曲として控えめにリリースされましたが、すぐに注目を集め、世界中のリスナーの心をつかみました。
当時エルトン・ジョンのマネージャーだったスティーブ・ブラウンが、ロサンゼルスの有名DJにこの曲を紹介し、それがきっかけでアメリカのラジオで火がつきます。
結果として、「Your Song」は全英チャートで7位、全米チャートで8位を記録し、エルトンのキャリアを決定づける大ヒットとなりました。
それ以来、「Your Song」はエルトン・ジョンの代表曲として、何世代にもわたって愛され続けており、恋人への愛をやさしく伝える“人生のテーマソング”として多くの人の心に残っています。
「Your Song」を歌ってみよう!
「Your Song」は、やさしいメロディと素直な歌詞が魅力のスローバラードです。テンポがゆっくりなので、歌いやすく、メロディラインも比較的シンプル。歌に自信がない方でも、気持ちを込めて歌える一曲です。
ギターやピアノでの弾き語りにもぴったりで、コード進行も難しすぎないため、初心者でも挑戦しやすいのが嬉しいところ。実際に弾き語りをしてみると、歌詞のひとつひとつがぐっと身近に感じられて、自分の言葉のように心に響いてきます。
また、英語学習の観点からも、この曲はとてもおすすめです。
文法的に難解な表現が少なく、口語的で自然な言い回しが多いので、スピーキングの練習にも最適です。歌詞を覚えて口ずさむことで、英語のリズムやイントネーションが自然と身につきます。
音楽としての魅力だけでなく、歌うこと・学ぶこと・伝えること、どの面から見ても「Your Song」はとても豊かな一曲だと思います。
英語の歌詞と、日本語訳を並べて紹介

「Your Song」の1番の歌詞です。
It’s a little bit funny, this feeling inside
ちょっとおかしな気分なんだ この胸の中の感情は
→ このフレーズは、恋に落ちたときの、照れくさくて不思議な気持ちを優しく表現しています。
I’m not one of those, who can easily hide
僕はそんなに簡単に気持ちを隠せるようなタイプじゃないんだ
→ 自分の感情を隠すのが苦手で、素直に出ちゃう人なんだよっていう、エルトン・ジョンらしい誠実な一節です。
I don’t have much money, but boy if I did
お金はあまり持っていないけど、もしあったなら
→ “boy” という呼びかけは感嘆のニュアンスで、「いやあ、もしあったならさ!」と熱を込めて語ってる感じです。
I’d buy a big house where we both could live.
君と一緒に住める大きな家を買うんだ
→ 「もしお金があったなら、君と住むための家を建てたい」夢のある優しい愛の表現ですね。ロマンチックな想いがじんわり伝わってきます。
「Your Song」の2番の歌詞です。
If I was a sculptor, but then again no,
もし僕が彫刻家だったら…いや、やっぱり違うな
→ この部分は、何かカッコいいことを言おうとしてふと我に返るような、ちょっと照れたユーモアが感じられます。等身大の語り口が魅力的です。
Or a man who makes potions in a travelling show
あるいは旅回りの見世物小屋で薬を作る男だったとしても
→ ここでは、Medicine showを彷彿とさせる、面白い職業を空想しています。詩的でちょっとファンタジックなイメージが広がります。
I know it’s not much, but it’s the best I can do
たいしたことじゃないけれど、僕にできる精いっぱいのことなんだ
→ 贈り物としてはささやかだけど、心を込めた精一杯の表現だよ、という想いがじんときます。素朴でまっすぐな愛の歌です。
My gift is my song and this one’s for you.
僕からの贈り物はこの歌さ 君に贈るためのね
→ お金や物ではなく、心を込めた「歌」こそがプレゼント。とても純粋で温かいフレーズです。
「Your Song」のリフレインの部分です。
And you can tell everybody, this is your song
みんなに言ってもいいんだよ これは君のための歌だって
→ 誇らしげに、「これは君の歌なんだ」と言える、そんな愛情と自信が込められています。
It may be quite simple but now that it’s done,
とてもシンプルかもしれないけれど、こうして出来上がった今は
→ 飾り気のない素朴な歌だけど、気持ちを込めて作り上げたことに意味がある、という優しい自負がにじんでいます。
I hope you don’t mind, I hope you don’t mind that I put down in words
気を悪くしないでほしいんだ こんなふうに言葉にしてしまったことを
→ 自分の気持ちを正直に言葉にしたことに、ちょっぴり照れや不安も込められていて、とても人間らしい優しい表現です。
How wonderful life is while you’re in the world.
君がこの世界にいるだけで、人生はなんて素晴らしいんだろう
→ このフレーズ、本当に名言ですね。シンプルだけど、愛する人の存在がどれほど大きいかをまっすぐに伝えています。
「Your Song」の3番の歌詞です。
I sat on the roof and kicked off the moss
屋根の上に座って 苔を蹴飛ばしたんだ
→ ここは、のんびりした風景と創作の始まりを感じさせる描写ですね。静かな場所でひとり、心の中を整理するような情景です。
Well a few of the verses, well they’ve got me quite cross
いくつかの歌詞はね、書いていてちょっとイライラしたんだ
→ 「cross」はイギリス英語で「怒った」「苛立った」という意味ですね。うまく言葉にならないもどかしさや、自分の想いを詩にする難しさがにじんでいます。
リアルで人間味のある一節です。
But the sun’s been quite kind while I wrote this song,
でもこの歌を書いている間、太陽はずっとやさしく照らしてくれてたよ
ちょっと苦労しながらも、あたたかい陽ざしに包まれて、穏やかな気持ちで曲を書いていた様子が浮かびますね。やさしい空気感があって素敵です。
It’s for people like you, that keep it turned on.
こうして陽ざしが輝き続けるのは 君みたいな人がいるからなんだ
→ ここでの “keep it turned on” は、太陽のやさしさや人生の輝きを保ってくれる存在=「君」のことを指していますね。
つまり「君がいるから、世界はこんなにもあたたかいんだ」と言ってるんですね。とても愛にあふれた表現です。
「Your Song」の4番の歌詞です。
So excuse me forgetting, but these things I do
だから忘れてしまったことは許してほしいんだ こういうことってよくあるんだよね
→ ちょっと照れながら、自分の不器用さを素直に認めている感じがとてもチャーミングですね。気持ちはあるのに、うまく表せないことってあるよね、という共感もにじんでいます。
You see I’ve forgotten, if they’re green or they’re blue
ほらね、君の瞳の色が緑だったか青だったかも忘れちゃってるんだ
→ とても人間味あふれるフレーズですね。大事な人のことを思っているのに、細かいことをど忘れしてしまう、そんな照れ笑いのような一節です。
それでも愛情はちゃんと伝わってきます。
Anyway the thing is, what I really mean
とにかく大事なのは、僕が本当に言いたいのはね
→ ここは、少し話が脱線したあとで気持ちをグッと本題に戻すような一節です。
少し照れながらも、心の奥にある真っ直ぐな想いをこれから伝えようとしているところ。次がとても大事なフレーズになりそうです。
Yours are the sweetest eyes I’ve ever seen.
君の瞳は 僕が見た中でいちばん優しくて美しいんだ
→ まっすぐで飾らない、でも深く心に響く愛の言葉ですね。ここまでの流れを受けて、この一言がとても強く響きます。エルトン・ジョンの優しさがにじみ出る名フレーズです。
「Your Song」のリフレインの部分です。
And you can tell everybody, this is your song
みんなに伝えていいんだよ これは君のための歌だって
→ これは前にも出てきたリフレインですね。繰り返されることで、より強く、より温かく、
「これは君のために書いたんだ」という想いが深まっていきます。
It may be quite simple but now that it’s done.
とてもシンプルな歌かもしれないけど、こうしてできあがった今は
→ こちらも前に出てきたリフレイン部分ですね。繰り返すことで、素朴だけれど心のこもった歌であることが、よりしみじみと伝わってきます。
I hope you don’t mind, I hope you don’t mind that I put down in words
気を悪くしないでほしいんだ こんなふうに言葉にしてしまったことを
→ これも繰り返しですね。
「言葉にするのは照れくさいけれど、どうしても伝えたかった」
そんな心の奥の想いが、リフレインのたびにやさしく響いてきます。
How wonderful life is while you’re in the world.
君がこの世界にいるだけで、人生はなんて素晴らしいんだろう
→ 最後の締めくくりにふさわしい、とびきりやさしくて力強い愛の言葉ですね。
飾らず、ありのままの言葉で伝えられる「君がいることの喜び」が心に残ります。
「Your Song」の魅力

「Your Song」の魅力は、何といってもその“まっすぐなやさしさ”にあると思います。
高価なプレゼントじゃなくて、心を込めた「歌」を贈る。そんな控えめで誠実な気持ちが、メロディと言葉にぎゅっと込められています。
歌詞の内容はとてもシンプル。けれど、シンプルだからこそ伝わる想いがあります。
「君がこの世界にいるだけで、人生は素晴らしいんだ」
この一言に込められた想いは、時代や言語を越えて、今も多くの人の心に響いています。
また、音楽としても「Your Song」はとても美しくて、ピアノのやわらかな音と、エルトン・ジョンの少し不器用だけど真剣な歌声が、聴いている人の心をそっと包み込んでくれます。
どこか懐かしくて、誰かを思い出させてくれるような、そんなあたたかい空気が流れている曲です。
個人的には、疲れているときや、誰かに素直な気持ちを伝えたくなるときに、ふと聴きたくなる曲です。
大げさじゃなくていい。気取らずに、でも本気で「ありがとう」や「好きだよ」を伝える、そんな優しさにあふれた名曲だと思います。
なぜ「Your Song」は、こんなにも人の心に残るのか
「Your Song」は、誰かを想う気持ちを、とても素直に、やさしく表現した歌です。
決して大げさではなく、押しつけがましくもない。それでいて、深い愛情や温かさがしっかり伝わってきます。
この歌には、「自分の気持ちを上手に伝えられないけれど、どうしても伝えたい」という、ちょっと不器用な人間らしさがあります。
だからこそ、多くの人が「これは自分のことかもしれない」と感じられるのかもしれません。
また、メロディも歌詞も飾らずにまっすぐで、聴く人の心の中にそっと入りこんできます。英語がわからなくても、その優しい雰囲気や語りかけるような歌声から、あたたかい想いが伝わってきます。
恋愛の歌でありながら、誰かを大切に想う気持ちそのものを歌っているからこそ、時代や文化を越えて、多くの人の心に残るのだと思います。
言葉のやさしさ、メロディの温かさ、そして素直な愛情表現
「Your Song」が心に残る理由のひとつは、使われている“言葉のやさしさ”です。
英語の歌詞は難しい表現を避けて、日常のことばで静かに想いを語ります。
「僕は気持ちを隠せないタイプなんだ」「お金はないけど、君のために歌を贈るよ」
そんな正直で素朴な言葉が、まるで手紙のように届きます。
そしてその言葉を支えているのが、ピアノを中心とした温かく包み込むような“メロディ”。
ゆっくりと進むコード進行は、聴く人の心をほぐしてくれるようで、リスナーは自然とその世界に入り込んでしまいます。派手さはないけれど、だからこそ深く残る、静かな力を持ったメロディです。
さらに、この曲の最大の魅力は“素直な愛情表現”にあります。
好きな人に気持ちを伝えるとき、「こんなふうに言えたらいいな」と思うようなフレーズがたくさん詰まっています。
恥ずかしさや照れを感じながらも、まっすぐに「君がいるだけで、人生は素晴らしい」と歌う。その一言に、どれだけの想いが込められているかが伝わってくるのです。
だからこそ、この曲は世代を越えて愛されているのだと思います。
恋をしている人、誰かに感謝を伝えたい人、自分の気持ちに素直になりたい人。そんなすべての人の心に、そっと寄り添ってくれる曲です。
曲情報・リリースデータ

・曲名:Your Song(ユア・ソング)
・アーティスト:Elton John(エルトン・ジョン)
・作詞:Bernie Taupin(バーニー・トーピン)
・作曲:Elton John(エルトン・ジョン)
・リリース年:1970年
・収録アルバム:『Elton John』(セルフタイトルのセカンド・アルバム)
・ジャンル:ポップ / ソフト・ロック / バラード
・チャート成績:
・全英シングルチャート:最高7位
・全米ビルボードHot100:最高8位
・プロデューサー:Gus Dudgeon(ガス・ダッジョン)
この曲は、エルトン・ジョンにとって最初の大ヒット曲であり、彼の長いキャリアの始まりを象徴する作品です。
今では彼の代表曲として、ライブでもたびたび演奏され、世界中で長く愛されています。
Elton John (1970年)

Elton John 収録曲
1 Your Song
2 I Need You to Turn to
3 Take Me to the Pilot
4 No Shoe String on Louise
5 First Episode at Hienton
6 Sixty Years on
7 Border Song
8 The Greatest Discovery
9 The Cage
10 The King Must Die
11 Bad Side of the Moon
12 Grey Seal
13 Rock N Roll Madonna
大人の洋楽歌ブック120

エルトン・ジョンのYour Songが掲載されている歌本です。
AB判なので、大きくて見やすく、歌詞の上にコードが掲載されているので、どこでも気軽に演奏できます。
「Your Song」「Desperado」「Hotel California」「Imagin」「Wonderful Tonight」「Alone Again」など全120曲が掲載されています。
Your Song(ユア・ソング)YouTube
まとめ

エルトン・ジョンの「Your Song」は、派手な演出や難しい言葉がなくても、心にまっすぐ届く名曲です。
誰かを想う気持ちを、こんなにも素直に、やさしく伝えてくれる歌は、なかなかありません。
このページで紹介した訳やエピソードが、読んでくださったあなたにとっての「Your Song」と出会うきっかけになれば嬉しいです。
恋人に、友人に、家族に、そして、自分自身にも。
この歌のように、気取らずに気持ちを伝えられたら素敵ですね。
あなたにとっての「Your Song」は、どんな歌ですか?
コメント